きのこと言えば、思いつくのはまず、しいたけですよね。新鮮な生しいたけはプリプリとして、干ししいたけは出汁がしっかりと出て、どちらも美味しいですよね。
しいたけは自分で簡単に栽培できるきのこでもあるので、家で栽培している方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。とても身近で、しかも美味しいしいたけ。その栄養成分や効果を知れば、もっと食べたくなること間違いなしです。
今回は、そんなしいたけの栄養や効果効能、干しシイタケや冷凍にしたときの違い、効果的な食べ方についてご紹介します。
しいたけの栄養や効果は?
しいたけは食物繊維、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンD、ナイアシン、カリウムなど、ビタミンやミネラルを多く含みます。
また、よくテレビなどで耳にするグルタミン酸やグアニル酸と言う加熱すると増加する旨味成分、レンチナンやエリタデニンと言うしいたけ特有の成分を含みます。
では、しいたけにはどのような効果があるのか見てみましょう。
✅ 骨や歯を強くする
人の体は日光の紫外線に当たることによって体内でビタミンDを合成することができます。「日光に当たらないと骨や歯が弱くなる」と聞いたことはありませんか?
骨や歯の強化と言えばカルシウムですが、ビタミンDは腸からのカルシウム吸収を促進する働きがあります。しいたけにもビタミンDは含まれていますが、それほど多くはありません。
しかし、しいたけにはエルゴステロールと言う紫外線に当たるとビタミンDに変わる物質が含まれているのです。つまりしいたけを天日干しすればビタミンDが増えると言うわけです。
しかし、この天日干しでビタミンDが増える作用はしばらくするともとに戻ってしまうため、食べる30分~1時間前に天日干しするのが良いとされています。
✅ 生活習慣病の予防、改善
しいたけに含まれるエリタデニンは余分になると体に害を及ぼす活性酸素の働きを抑制したり、血圧や血中コレステロール値を下げ血液をサラサラにする作用があり、高血圧や動脈硬化などの予防改善に効果があります。
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エリタデニンは血液中のコレステロールの代謝を促し、胆汁酸など他の物質へ変化するのを促進します。
よって、しいたけを食べるとコレステロールが早く体外へ排出されるようになるため、コレステロール値の上昇を抑える効果が期待できるのです。
✅ 便秘解消やダイエットに良い
きのこと言えば食物繊維ですよね。しいたけも食物繊維は豊富で、100g当たり3.5g程度含まれています。
食物繊維のバランスとしては不溶性:水溶性=6:1くらいの割合で不溶性食物繊維が多く、便のかさを増やし、腸のぜん動運動を促進する働きがあるので便秘解消に役立ちます。
不溶性食物繊維は体内の脂肪や老廃物を吸着して体外へ排出する働きや、体内で水分を吸って膨れる性質もあるので、体の中からきれいにしてくれる美容効果も期待できます。
しいたけは100g当たり、18Kcalと低カロリーなので、食べ過ぎやカロリーの取りすぎを防止し、ダイエットのサポートをしてくれます。
しいたけで免疫力アップ!
免疫細胞の7割は腸で作られると言われています。腸内細菌である善玉菌には免役細胞をより活性化する働きがあります。つまり、免疫力を上げるためにはまずは腸内環境を整えることが大切なのです。
先程、しいたけには食物繊維が豊富に含まれていると紹介しましたが、まず第一に、食物繊維によって便秘を解消し、腸内環境を整えることが出来ます。
キノコ類にはβグルカンが含まれているのですが、しいたけに含まれているものはレンチナンと呼びます。βグルカンは多糖類の一種で、食物繊維の仲間です。
βグルカンは、免疫を司るマクロファージやリンパ球を刺激して体の外から入ってきたウイルスを撃退する働きがあります。また、βグルカンは摂取しても胃や腸で消化分解されないので、腸内の免疫細胞に働きかけてくれるのです。
他にも、インフルエンザなどの感染症予防にも効果があるとされています。
特に、しいたけに含まれるレンチナンは、リンパ球やナチュラルキラー細胞(NK細胞)などの活性力を高めます。
リンパ球は免疫機能の中心的役割を果たしています。ナチュラルキラー細胞はウイルス感染細胞や細菌を見つけると単独で直接殺してしまう、いわゆる殺し屋です。
これらの働きが活性化することで免疫力がアップするというわけです。
レンチナンは癌細胞抑制効果も認められていて、坑腫瘍剤として認可され、医療現場でも活用されているのです。「しいたけはがん予防になる」と聞いたことがありますが、本当だったんですね!
干ししいたけや冷凍しいたけも効果アップ!
生椎茸は賞味期限が短く、それほど日持ちはしないので、腐りやすいのが欠点です。ですので、買ってからすぐに使わなければなりません。
干ししいたけは?
少しでも保存期間を長くするなら、干し椎茸にするのがおすすめです。しいたけの干し方は天日や機械で乾燥させていますが、しいたけの栄養がぎゅっと凝縮されるため栄養価が高くなります。
干ししいたけはまた、乾燥させている間に、熱と酵素の働きによって香り成分のレンチオニンと旨味成分のグアニル酸が増えるため、なましいたけよりも香りや旨味が強いのです。
干ししいたけのビタミンDは生しいたけの約9倍含まれていますが、エルゴステロールも含まれているので、生しいたけ同様、食べる前に日光に当てて干すことによって効果が倍増します。
他にも、食物繊維は生しいたけの約10倍含まれているので、より便秘解消に効果的と言えます。
時間はかかりますが、冷水に浸けて冷蔵庫でゆっくり戻すと、酵素の働きによってグアニル酸が増え、しいたけの旨味を存分に味わうことが出来ます。その戻し汁にもしいたけの栄養が溶け出しているのでだしなどにしてぜひ、活用してください。
使い方は煮物やスープ、太巻きの具材などに使えます。
干しシイタケを戻すとき、戻し時間はどれくらいなんでしょう?また、時間がない時は電子レンジでもできるのでしょうか?干しシイタケの戻し方はこちらをご覧ください。
⇒ 干しシイタケの戻し方、急ぎで早い方法はレンジで?日持ちはどれくらい?
しいたけを冷凍すると?
また、日持ちしない生しいたけですが、実は冷凍保存も出来ます。しかも、しいたけを冷凍すると、乾燥させた時のように旨味がアップするのです!ですので、新鮮なうちに使えないときは、変色してしまう前に冷凍するのがベストです。
しいたけを冷凍すると細胞の中の水分が凍り体積が膨張します。すると細胞膜が破れ細胞が死に、うま味成分のもとが沢山できるのです。
実は、もともときのこには旨味成分はほとんどありません。きのこの細胞にはRNAと言う核酸とヌクレアーゼと言う酵素が含まれています。RNAがヌクレアーゼによって分解されることにより、旨味成分に変わるのですが、酵素は細胞が死んで初めて活動を始めます。
よって加熱したり冷凍したりすることによって、細胞が死に酵素が働くので、旨味がアップすると言うわけです。
しいたけは冷凍保存がおいしいのでほんとにおすすめです。私的には少し長めに冷凍しておいた方が旨味がアップしてよりおいしくなると感じています。特にお味噌汁や煮物にするのがおすすめで、凍ったまま使えて便利です。
しいたけの保存方法や選び方はこちらもぜひご覧ください。
⇒ しいたけの保存方法は冷凍も天日干しもおすすめ!黒くなったら食べられる?
しいたけの効果的な食べ方は?
いろんな調理法で使えて、特に3~5月と9月~11月の旬のものはシンプルに焼くだけでもおいしいですし、炒めたり、煮物や佃煮にしたり、炊きこみご飯や天ぷら、肉詰めなど、シイタケを使った料理は数多くあります。
そんなしいたけをおいしく効果的に食べるにはいくつかのポイントがあるので、ご紹介します。
まず、先程紹介したように、しいたけはエルゴステロールを含んでいるので、食べる30分~1時間前に日光に当ててビタミンDをアップさせましょう。
そして、使う前に洗う方が多いと思いますが、洗ってしまうとしいたけの香りや風味も洗い流されてしまうので、少し濡らしたキッチンペーパーなどで軽く拭く程度にするのがベストです。
また、しいたけの茎、軸の部分の石づきを捨ててしまう方が多いようですが、軸・石突は食べられます!
しかも、βグルカン(レンチナン)は石づきの方に多く集まっているので、根元ギリギリの所だけ落としてあとは食べるようにしましょう。石づきは固いですが、細かく切ってチャーハンやハンバーグなどに混ぜると食べやすくなりますよ。
ただ、しいたけはカロリーが低いので天ぷらなどの揚げ物や炒め物、ステーキにすることも多いと思いますが、これは注意が必要です。というのも、しいたけはスポンジのように、油と一緒になると油を思う存分吸ってしまうのです。
なので、低カロリーだからとしいたけを油で調理ばかりしていると、気が付けはカロリーオーバーなんてこともありえるので気をつけましょう。
まとめ
今回はしいたけの栄養素や効果効能、効果的な食べ方についてご紹介しましたが、低カロリーなうえ、免疫力もアップし、生活習慣病の予防など、私達に嬉しい健康効果をもたらしてくれることがわかりましたね。
年中手に入り、しかも安価なのでコストパフォーマンスが良すぎですよね。嫌いという方も結構いるようですが、せっかく栄養満点ですので、様々な料理に使って、栄養だけでなく、しいたけの香りや風味も楽しんでくださいね。