芳醇な香りと独特な食感で多くの人々を魅了する「秋の味覚の王様」こと松茸は、人工栽培が難しく、生育条件も厳しいことから国内収穫量は非常に限られており、毎年高値で取引されています。
確かに「松茸=高級」というイメージが絶対といっていいほど、日本人の中にはありますよね?
今回は国産松茸の旬の時期や香りを逃さず冷蔵、冷凍保存する方法をご紹介したいと思います。
日本産の松茸の旬は?
松茸の産地は?
松茸はアカマツなどの根元に生えるキノコなのですが、樹齢の高い樹や手入れのされていない森林では生育することが出来ず、さらに気候や土壌環境などの影響を受けやすいため、毎年収穫量に大きなバラつきが生じるため、安定して供給することが出来ません。
現在、国産松茸の産地として挙げられている都道府県は、長野県・岩手県・岡山県・和歌山県・広島県となっており、なかでも長野県の松茸生産量は非常に高く、今では有名な国産松茸の産地として多くの松茸ファンたちから注目を集めています。
また、日本では古くから秋になると松茸を食べる習慣がありますが、年々収穫量が減少している国内産松茸の不足分を補うため、最近では中国やアメリカ、カナダ、トルコなどから輸入しています。
輸入松茸の場合、輸送に時間がかかってしまうため、国内産の松茸と比べると、どうしても風味が落ちてしまいます。
松茸の一番の魅力は何と言ってもその“芳醇な香り”なので、やっぱり国産の松茸を求めてしまいますね!
松茸の旬は?
ところで、松茸といえば、9月から11月にかけて旬を迎えるイメージがありますが、生産地によって微妙に旬の時期が異なることをご存知ですか?
松茸は土壌の温度が19℃以下にならなければ生えないため、東北地方などの気温が低い地域や他の地域よりも標高が高い山々では、一足先に旬の時期を迎えます。
ですが、先にご説明したとおり、松茸は気候や土壌環境などによって生産時期が変化するため、松茸の収穫が始まる少し前の8月下旬から9月上旬にかけて雨が多く降ったり、気温が低かったりすると、今年は豊作になると言われており、逆に暑い日が続いたり、雨の降らない日が続くと凶作となります。
また、2014年は8月下旬から収穫が始まるなど、毎年旬の時期が変化するため、日本産の松茸を食べたいという方は、松茸の産地である長野県や岩手県などの気候をチェックしておくと、誰よりも早く国産松茸を購入することができますので、覚えておくといいですね!
子供の頃、よく祖母を連れて家族で京都に松茸狩りをしに行きました。そのころはちょっと面倒くさいなと思いながらしていたのですが、今思うとかなり貴重な体験をさせてくれた両親に感謝です。
その年によって獲れる量はまちまちで、ある年は山に入るとそこら中に松茸があったりして豊作だったのですが、不作な時は取れる量も2~3本と、かなりばらつきがありました。
相場は?
松茸は、アカマツが生えている場所ならば、北海道から九州地方の全域で収穫することができるのですが、降雨量・日照時間・菌の増殖・土壌環境・アカマツの状態などによって松茸が収穫できるかどうかが決まりますので、アカマツが生えているからといって、必ず収穫できるとは限りません。
また、人工栽培が非常に難しい植物でもあるため、椎茸やシメジなどの他のキノコとは比べ物にならないほど高値で取引されています。
ですが、松茸にもランクというものが存在するため、全ての松茸が高値で取引されるというわけではありません。
松茸のランクは、カサの開き具合や全体の汚れなどによって、開き(コロ)・上開き・中つぼみ・特上の4つに分けられます。
では、ランクごとの平均価格をご紹介しましょう。
【松茸の平均価格】
・開き(コロ):3万円前後
・上開き:5万円前後
・中つぼみ:6万円~8万円
・特上:8万円~10万円
なかでも出回り始めの時期は、ご祝儀相場ということで平均相場価格よりも若干高値で取引されるため、松茸を購入するならば中旬あたりに購入するのがオススメです。
ですが、京都府や兵庫県で収穫される「丹波松茸」は、香り・容姿・食感・ボリューム全てにおいてパーフェクトな松茸のため、1kg10万円 (1本7000円以上)もするため、なかなか購入することが出来ません。
「とにかく松茸を食べたい!」とお考えの方は、産地にこだわらず比較的お手頃な海外産の松茸を購入されることをオススメします。
保存方法は?
国産の松茸を購入したものの、1日で消費することができないという場合がありますね。
私も数年に1度、松茸を通販で注文するのですが、1日で消費することができないことが多々あります。
ですが、松茸の魅力は「芳醇な香り」ですので、できれば香りを維持した状態で保存したいですよね!
そこで、松茸の香りを出来る限り維持した状態で保存する方法をご紹介します。
冷蔵保存の方法は?
松茸を数日中に使い切ることができるならば、冷蔵庫もしくはチルド室で保存するのがオススメです。
【冷蔵保存の手順】
- 新聞紙を用意し、松茸を濡らさないように丁寧に包みます。
- 丁寧に松茸を包んだら、冷蔵室もしくはチルド室に入れて完了です。
こうすることで、松茸が水っぽくなるのを防ぎ、香りが失われるのを最小限に抑えることができます。
冷凍保存の方法は?
すぐに消費できず、松茸を2ヶ月から3ヶ月ほど保存したいという方は、冷凍保存がオススメです。
ただし、ただ松茸を冷凍庫へ入れれば良いと言うわけではありませんので、ご注意くださいね!
【冷凍保存の手順】
- 松茸に付着した汚れをしっかり落とします。
- サランラップで2重、3重に包んでしっかり密封し、冷凍庫で保管します。
冷凍した松茸を調理に使いたいときは、解凍せずに凍った状態でお吸い物や土瓶蒸しにするのがオススメです。
汁物にすることで、冷凍した松茸の香りや旨味が、だし汁の中に溶け出し、松茸に含有されている栄養素を丸ごと摂取することができます。
シイタケも実は冷凍すると風味が増しおいしくなるので、松茸も同じようにおいしいかもしれませんね。
もし、「どんなに手間がかかっても良いから松茸の香りを逃したくない!」という方は、松茸を冷凍する前に食べやすいサイズにカットし、醤油とお酒で煮たあと、煮汁ごと冷凍してしまうのがオススメです。
まとめ
今回は国産松茸の旬や保存方法についてご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
今まで松茸の最大消費国家といえば、日本だったのですが、2016年8月20日にある中国メディアで「松茸ってこんなに素晴らしいのか 全部日本人に食べさせてはいけない」という記事が掲載され、今後中国でも松茸ブームが巻き起こる可能性があります。
また、松茸にはビタミンB1・ビタミンB2・カリウム・鉄・食物繊維などの栄養成分をはじめ、松茸特有の香り成分“マツタケオール”といった有効成分も豊富に含有されておりますので、この機会に香りだけではなく、栄養成分にも注目してみてはいかがでしょうか。