「菜の花」と聞くと、頭に浮かぶのは、春に咲く黄色い花とちょっと苦みのある野菜ですね。同じ呼び名なのに一方は観賞用でもうひとつは食べられるんですから不思議ですね。
今回はそんな菜の花の疑問から、菜の花が持つ栄養やその効果効能、旬の時期やおすすめレシピをまとめてみました。
菜の花とは?
実は、「菜の花」とはアブラナ科の黄色い花をまとめて呼んでいる呼び名で、他にも「菜花」や「花菜」とも呼ばれているそうです。「菜の花」という名前の植物があるわけではないんです。だから観賞用も食用も同じ呼び名で呼ばれているんですね。
ということで、菜の花には観賞用、食用の他、種を絞ってつかう菜種油などさまざまな品種があります。
菜の花が日本に入って来たのは、はっきりとはわかっていないのですが、かなり昔のようで、最初は菜種油用として栽培され、食用として普及したのは明治時代以降と比較的最近です。
菜の花は12月頃から出始めるものもありますが、本来の旬は2~3月で春が旬の野菜です。菜の花がスーパーなどに並び始めると「あ~、春だな~」って感慨深くなる方も多いのではないでしょうか?
そんな食用の菜の花は、花が咲いてしまうとえぐみが強くなるので、花が咲く前のつぼみの時に収穫して食べます。菜の花は、実は栄養価に富んでいて様々な健康効果があります。では、さっそくどのようなものがあるのか見てみましょう。
菜の花の栄養は?
菜の花には、あまり知られていないかもしれませんが、実は様々な栄養がつまっていて、かなり栄養価が高いので旬にはぜひおすすめしたい野菜です。
主に、下記のような栄養素が含まれています。
✅ βカロテン
✅ ビタミンC
✅ ビタミンK
✅ 葉酸
✅ カルシウム
✅ 鉄
✅ カリウム
✅ イソチオシアネート
中でも、ビタミンCはほうれん草の4倍、βカロテンはピーマンの5倍含まれているとも言われ、風邪や老化防止、美肌、便秘などに効果があるとされています。では、一つずつ栄養素の役割を見てみましょう。
βカロテン
βカロテンは吸収されたら、体内で必要に応じてビタミンAに変わります。強い抗酸化作用を持ち活性酸素を除去する作用があるので、体内に入ってきたウイルスと戦い、免疫力をアップさせる効果があります。また、風邪の予防や老化防止、動脈硬化の改善にも効果があります。
ビタミンC
βカロテン同様、強い抗酸化作用があり、免疫力を向上させ、風邪の予防やがんの予防などに効果的です。また、シミの生成を抑えるので、美肌効果も期待できます。
ビタミンK
出血の際に血を固めて止血する役割があり、血管の健康にも重要な役割を果たしています。また、骨を強くして健康を保ち、骨の形成も促進します。骨粗しょう症の治療薬としても使われています。
葉酸
葉酸は貧血を防いで、胎児の発育、神経系や脳の発達に大事な役割を果たすため、妊娠中には欠かせない栄養素です。妊娠中だけでなく、妊娠を希望する女性も摂取がすすめられています。
カルシウム
歯や骨を丈夫にする役割があり、体内の99%のカルシウムは骨や歯に含まれています。出血を止めたり、神経や筋肉の働きなど、体の生理機能を調整し、安定させる重要な役割もします。
鉄
赤血球を作るのに必要な栄養素で、体内の隅々に酸素を届けるという重要な役割をしています。貧血対策には欠かせないので、貧血気味の女性は積極的に摂取することをおすすめします。
カリウム
体内の余分なナトリウムを排出して、血圧を下げるので、むくみの改善や高血圧の予防につながります。また、筋肉を正常に保つ機能もあります。
イソチオシアネート
白菜やワサビ、大根、ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜特有の辛み成分の一種で、最近では、「疫学的研究などから現在最もがん予防効果が期待される食品成分」(岡山大学)とされています。また、アブラナ科の食物を食べている乳がん患者の生存率が高い、ということで特に注目されています。
菜の花の効果効能は?
非常に栄養価の高い菜の花ですが、効果効能には主にどのようなものがあるのかまとめてみました。
免疫力を高めて、風邪の予防やがん予防に有効
ビタミンCには免疫力を高める効果があります。加えて食物繊維の持つ整腸作用で、腸内の余分なものが排出され腸内環境が整い、免疫力アップにつながるので体自らが、風邪やがん細胞への抵抗力を持つ事になります。また、イソチオシアネートもがん予防に効果的とされています。
老化防止や美肌効果
βカロテンやビタミンCの持つ抗酸化作用は活性酵素を除去してくれるので、老化防止の他、美容にも効果的です。また、βカロテンは体内でビタミンAに変化する事で粘膜を健康に保つ役割をはたし、ビタミンCはメラニン色素を分解しシミやそばかすを防いだり美白にも効果的な事から、美肌づくりに多いに期待できます。
妊娠中の女性にぴったり!
細胞分裂が活発な、胎児の正常な成長に大切な役目をはたす栄養素が葉酸です。また、妊娠中の女性は歯や骨に蓄積されたカルシウムを胎児に栄養として送っているので、骨密度が低くなり、骨がもろくなりやすくなっています。それを防ぐ為に、普段以上にカルシウムを摂取する必要があります。
菜の花には、葉酸やカルシウムがたくさん含まれている上に、女性に不足しがちな鉄も含まれているので、妊娠中の女性には特におすすめの野菜です。
何気に食べている菜の花にもこれだけの効果効能があるとは思いませんでした。ぜひ旬の時期には積極的に摂りたいですね。
菜の花の効果的な食べ方と菜の花レシピ
菜の花は、ビタミンCなど水溶性のビタミンを含んでいるので茹ですぎない方が栄養を効率よく摂取出来ます。
また、菜の花はお浸しにすることも多いですが、菜の花に含まれるβカロテンは油との相性も良く吸収率もアップするので、実は炒め物もおすすめです。
がんの予防が期待できるイソチオシアネートは細胞を壊す事で吸収されやすくなるという特徴を持っているので、食べる時には良く噛むことがポイントです。
菜の花は手早くゆがいてお浸しで食べることが多いですが、炒め物やお漬物などにも多く使われていて、意外と洋風料理にもあう野菜です。
また、苦みが独特の菜の花は、お酒のあてにもぴったりですよね。春らしい一品と、彩りのいいお弁当のおかずにもおすすめのレシピをご紹介します。
菜の花とベーコンの炒め物
【材料】
菜の花…一束
ベーコン…50g
ニンニク…ひとかけ
塩こしょう…適量
オリーブオイル…大さじ1/2
【作り方】
1、菜の花は3cm幅のざく切り、ベーコンは薄切り、にんにくは薄くスライスします。
2、オリーブオイル・ニンニクを熱し、香りが出たらベーコン・菜の花の順に炒め、塩こしょうで味付けして完成です。
http://cookpad.com/recipe/3653561
菜の花とあさりの酒蒸し
【材料】
菜の花…一束
あさり…2パック
ニンニク…ひとかけ
酒…100cc
醤油…小さじ1
出典: http://cookpad.com/recipe/3743632
旬のあさりとはまぐりを一緒に使ったレシピ、春ならではですよね。ぜひ、おいしい旬の季節に堪能したい一品です。
まとめ
今回は菜の花の栄養や効果効能についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?ほのかな苦みが独特な野菜ですが、シンプルに辛し醤油で食べてもおいしいですよね。
がんの予防や免疫力アップ、他にも妊娠を希望する、または妊娠中の女性にもうれしい栄養豊富なこともわかっていただけたと思いますので、今年の春は、ぜひ、菜の花で春の訪れを感じてみてください。