ほくほくとした上品な味わいの上、実は栄養価も高く美容や健康にもよいユリ根。
ただ、使える季節も限られていて、なかなか食卓に出す機会もなく、まだ調理したことがないという方にとっては無縁の食材かもしれませんね。
あの白い固まりで売られているユリ根は、その食べ方や保存、下処理の方法など、なかなか未知の世界のものとも言えるのではないでしょうか。
そこで今回は、知ってしまえば意外と扱いやすい、ユリ根の使い方、下処理や調理法、おいしい食べ方や保存方法についてまとめてみました。
ユリ根とは根ではない!?
ユリ根は、「ユリ根」と名前が付くくらいなので、ユリの根だと思いますよね。私も根っこだと思っていたのですが、実はユリ根は「根」ではなく、「葉」で葉が変形した「鱗茎」に当たるんです。下の画像がユリ根ですが、どう見ても葉には見えませんね。
短縮茎に鱗葉が重なり合い、層状になっている「鱗茎」(なんだか難しいですね…)という球根の一つの形で、タマネギと一緒なんだそうです。
ユリの球根にも色々ありますが、食用とされるのはオニユリ・コオニユリ・ヤマユリ・カノコユリくらいで、他のほとんどの品種は、アクが強く、苦くて食べられないそうです。
そんなユリ根は子孫繁栄の縁起物としておせち料理に入れる他、京懐石や精進料理にも良く使われています。
国産の98%は北海道で作られているそうですが、やはり調理の仕方や食べ方がわからないことから、関西地方を除いてはあまり使われていないそうです。
私は関西の出身で、祖母がよくユリ根を使っていろいろ作ってくれていたので、昔から大好きなのですが、やはり関西以外の方にはあまりなじみがないんでしょうか?
ユリ根は栄養分が非常に豊富で、中国では滋養強壮、利尿、咳止めなどに効果効能があるとして、古くから漢方薬にも使われているほどです。
特にビタミンやミネラルが豊富に含まれていて、体内の余分なナトリウムを排出し、高血圧の予防やむくみの解消に効果のあるカリウムは野菜の中でも含有量が高いです。
また、妊婦さんが必要な赤ちゃんの成長には欠かせない栄養素、葉酸も含んでいるので、妊婦さんにはおすすめの食材です。
↓ ユリ根はこんな感じで土の下になるそうですよ。そう言えば葉がやっぱりユリですね。きれいな花も咲きますよ。
ユリ根に毒はあるの?
ユリ科の植物、花や球根、根っ子の部分には毒があるものが多いと言われていますが、食用のユリ根に毒性はありません。
ただし、園芸用として売られている球根や食用と想定して栽培していないユリの畑には薬剤が使われていることがほとんどなので、食用として流通しているユリ根以外は口にしないようにしましょう。
また、猫にとってユリは猛毒とも言われているくらい危険な植物ですので人間には無害なユリ根でも、念のため猫には与えない方がよさそうです。
私は、ユリ根のほろっとした、もろい食感と何とも言えないほのかな甘さが大好きなのですが、とても高価なイメージがあります。
お正月料理に使われる事が多いユリ根は、11月から2月が旬で、12月に出荷のピークを迎え、需要が高まるお正月前に価格が最も高くなります。そのピークを過ぎた途端に価格は一気に下がりますが、味も落ちるわけではないので、食材として使うのであれば、1~2月の季節が狙い目です。
また、寒いければ寒いほどユリ根の味も甘さが増し、収穫直後よりもしばらく置いてから食べたほうが、さらに甘さが増しておいしく食べられます。
収穫直後は甘くない!置いておくと甘くなるさつまいものおいしいレシピ集はこちらをご覧ください。
⇒ おいしくないさつまいもをおいしくする、甘くする方法、レシピをご紹介!
ユリ根の使い方は?下処理は?
以前、茶碗蒸しにユリ根を加えたかったのですが、店頭であの白い固まりを見て購入をためらってしまったことがあります。
出来上がったものしか見た事がなかったので、これを一体どう処理したらよいのかとその時は悩みましたが、調理してみると意外と簡単です!
まずは、下処理の方法をご紹介します。
1⃣ ユリ根を洗い、おがくずをきれいに取り除きます。
2⃣ 外側から1枚づつ、やさしくはがしていきます。
3⃣ 途中で根の部分を包丁で切り落とし、さらにはがしていきます。
4⃣ はがしたものを再度やさしく洗って、土を落とします。
5⃣ 色が変色している部分は包丁で削り落とし、大きいものは食べやすい大きさに切ります。
あとは、料理に合わせて下茹でするか、水にさらすのですが、ここでポイントです。
茹で方、加熱するときは注意しましょう!ユリ根は、火が通りやすいので注意が必要です。
塩茹でにする場合は、
1⃣ 沸騰したお湯に1%(1リットルのお水に1g)の塩を入れて、ユリ根を2~3分茹でます。
2⃣ ザルにあげて冷まします。
電子レンジで加熱するには、
1⃣ 耐熱皿にユリ根を重ならないように並べます。
2⃣ 600Wで1分加熱したら、取り出して、ユリ根を裏表ひっくり返してもう1分加熱して出来上がりです。
茹ですぎると溶けてしまいますし、レンジの場合も加熱しすぎると干からびてしまうこともあるので、様子を見ながら時間の調整をしてくださいね。
難しそうに思えたユリ根の下ごしらえ、加熱しすぎにさえ注意すれば簡単ですね。これさえ覚えておけば後は、どんなお料理にも使えますよ。
こちらは動画でユリ根の下処理と茹で方、レンジでの加熱の方法を紹介しています。特に下処理はわかりやすいので、ぜひ確認してみてください。
【動画: ゆり根の下ごしらえ】
ユリ根の保存方法は?
ユリ根は土の中で育っているので、レンコンやごぼうのように長持ちしそうですね。
ユリ根の保存方法、常温では?
買ってきたユリ根をすぐに使わない場合は、水に濡れると傷みやすくなってしまうので、洗わずに保存します。
おがくずの中に入れておくことで日持ちしますので、おがくずに入っているものは、そのまま冷暗所で保存します。この方法だと1ヶ月くらい保存が可能です。
ユリ根を冷蔵庫で保存するには?
冷蔵庫で保存する場合も、ユリ根を洗わずに新聞紙などに包み、さらにビニール袋などに入れて保存します。保存の目安は1週間です。
ユリ根は冷凍保存できる?
ユリ根は冷凍保存も可能なんです。
冷凍の仕方は、
1⃣ 下処理をして塩を加えた熱湯で硬めに茹でます。30秒~1分程で十分です。
2⃣ ユリ根を水にとって冷まし、水気をしっかりと拭き取り、金属のトレーに乗せて急速冷凍させ、凍ったらジップ付きの保存袋に入れてそのまま冷凍庫で保存します。
冷凍したユリ根の保存期間はは1ヶ月を目安に使い切るようにしましょう。
こうすると使う時に一つずつ取り出せるので便利です。使い方は、半解凍して茶碗蒸しなどに入れて使えます。
お正月のあたりはどうしても値段が高騰しますので、その前後に販売していたら、一足先に買っておいて冷凍しておけば助かりますね。
ユリ根のおいしい食べ方は?
ユリ根と言えば、茶碗蒸しが定番ですが、他にもいろんな食べ方があり、天ぷらやスープにお味噌汁に入れたり、またゆり根で作るきんとんやゆり根饅頭なるものもあります。
お正月には、鰹節と煮干の出汁にユリ根と三つ葉を入れて、卵とじにしたおすましを食べるご家庭もあるそうです。来年のお正月には、ユリ根を使ってちょっと変わった一品も作ってみたいですね。
おせちと言えば、黒豆や数の子、くわいなど意外と簡単に作れます。くわいに関してはこちらもぜひチェックしてみてください。
⇒ くわいの食べ方、おせち用切り方は?下処理や保存方法もご紹介!
まとめ
今回はユリ根の使い方、下処理や保存方法についてご紹介しましたが、古くから漢方としても利用されるほど効果もあって、意外と簡単に使えるので、ぜひ旬の季節には食べておきたいですね。
日持ちもして、扱いやすいこともわかったので、茶碗蒸しやそれ以外の調理法や食べ方で、ぜひユリ根を活用してみてくださいね。