おせちには欠かせないくわいですが、あまり普段は使わないので、下処理や切り方など、どう調理すればいいのかわからないという方も多いですよね。何を隠そう私もそのうちの一人でした。
旬も限られていて年中食べるものではないので、使い方がわからなくても不便ではないのですが、せっかくですからおせちにくわいも作ってみたいですよね。
今回はそんなくわいの下処理や芽を残す方法、おせちに使える切り方、作り方やそのほかの食べ方、保存方法などについてご紹介します。
くわいとは?
おせちに欠かせない食材のひとつ、くわいは調理する前はちょっと珍しいつやのあるきれいな藍色をしています。味は少しほろ苦く、甘味もあって、ほっくりとでもポソポソした食感が特徴です。
子供のころから食べていたので私は結構好きなのですが、くわいの食感は他の野菜にない独特なものがあります。
くわいの名前の由来は、くわいの葉が鍬(くわ)に似ていることから鍬芋(くわいも)と呼ばれ、それがなまり「慈姑(くわい)」となったと言われています。漢字表記だとなんて読むのかわからないですね。
また、くわいは「芽でたい縁起物」としておせち料理などに使われていますが、その意味は、見た通り、大きな芽・茎が出ることからです。
そんなくわいの旬は11月末から12月限定の冬野菜で生産量も少なく、正月のおせち料理用の高級食材として知られています。産地は1位が広島、2位が埼玉で全体の約90%を占めています。
くわいの栄養はと言うと、たんぱく質が野菜の中では豊富なほうで、さつまいもの約5倍含んでいます。また、血圧をさげる効果のあるカリウムも豊富なので高血圧の予防にもなります。他にも、疲労回復に効果的なビタミンB1や骨や歯を作るのに欠かせないリン、正常な味覚に保つ亜鉛なども含んでいます。
くわいの苦みはポリフェノールの一種、カテキンなのですが、カテキンは抗酸化作用があり、動脈硬化などの生活習慣病を予防し、がんの発生を抑え、免疫力を高めるといった効果もあります。
中国でも昔、くわいは滋養強壮によく、長寿にも効果があるとして食べられていたそうです。
食べられる時期は冬のみと限られていますが、栄養や効果を知ると、ぜひ摂取しておきたい食材ですね。
おいしいくわいの見分け方・選び方は?
一見どれも同じように見えるくわいですが、おいしいくわいはどこを見ればいいのでしょうか?
くわいは主に、小ぶりの方がおいしいと言われ、芽がまっすぐきれいにのびているもの、また皮につやのあるものがおすすめです。
特におせちに使う場合は大きすぎると、芽の部分が重箱のふたに当たって傷んでしまったり、または入らなかったりするので、なるべく小~中くらいのものを選ぶといいですね。
こちらおせち用に小さめを選びました。
おせちや冬の季節はユリ根もいいですよね。ユリ根も下処理を覚えたら簡単です!
⇒ ユリ根の食べ方は?毒がある?保存方法や下処理はどうするの?
くわいの下処理は?
次は、くわいの下処理ですね。形からして、どのように処理すればいいかわからないですが、やってみると意外と簡単です。くわいの皮を剥いて、あく抜きをしますよ。
まず、おせちに入っているくわいを想像していただくとわかると思いますが、くわいの芽、茎は縁起物で、もちろん食べられますので、好みで切り落とさずそのままにしてもいいですし、根元から1.5~2cmほどに切り落としてもどちらでもOKです。
くわいの下ごしらえは、
1⃣ まず、ボールに水をはっておきます。
2⃣ くわいの底は平らに切ります。そうすると、見た目もきれいですし、お皿に置くときにも安定しますね。
3⃣ 皮の剥き方は、底の部分から上に向かって皮を向いていきます。皮はとっても薄くて剥きやすいです。また、茎は誤って切り落とさないように注意しましょう。
1つ目、誤って切り落としてしまいました!茎はとっても柔らかくて軽い衝撃でも簡単に取れてしまうので気を付けてくださいね。
皮むき器を使って剥いてもいいのですが、実もごそっと削れてしまったり、危うく茎もカットしてしまうので、できれば包丁で剥くのをおすすめします。茎の皮は1枚むいておきます。この皮も少し切れ目を入れてあげると、1枚つるんときれいに剥けます。
剥いたらこんな感じです。茎は長めと短めに試しに切ってみました。長さはお好みでどうぞ。
4⃣ 皮を剥いたくわいは、用意した水に浸けていきます。
買ってきたおせち料理に入っているくわいは、きれいに六角形に剥いてあります。向き方は下から六面剥いていきます。ただ、小さいくわいだと、実をたくさん削ってしまうともったいないので、形を気にせず底だけ整えるだけでも十分だと思います。
これで、下処理は完成です。すべて剥き終わったら今度は下茹でです。
中には下茹でしないレシピもありますが、くわいは煮物にするのが一般的でアクが強いこと、また下茹でをしておくことで色が悪くなるのを防ぐこともできるので、下茹でしておくことをおすすめします。
くわいは生だと白く、煮ると黄色くなるのですが、さらに色をよくするために色付けします。準備するのは米のとぎ汁、または、お酢、あとは、色付け用のくちなしです。
それがこちらです。⇓
下茹での方法は、
1⃣ クチナシの実をつぶしてガーゼやお茶パックに入れます。口はしっかり閉じておきましょう。
2⃣ 皮を剥いたくわいをお鍋に入れて、とぎ汁か、またはお水にお酢を少量(大さじ1ほど)入れます。水の量はくわいがしっかり浸かるくらいたっぷり入れます。沸騰してから3分ほど茹でたらザルにあげて冷めたら完成です。
くわいは水から茹でます。もし、くちなしがなければ、なくても大丈夫です。色は薄いですがきれいな色に仕上がります。
また、くちなしを入れる場合、量はあまり多すぎても色が濃くなりすぎるので、少しずつ入れるなどして調整してみてください。これで、調理の下準備ができました。
おせち用くわいの煮方・炊き方レシピ
下茹でが完成したら、あとは煮るだけです。こちらもあっという間にできてしまいますよ。
【材料】
くわい 6~8個
★ 水 3/4カップ
★ かつお節 ひとつかみ
★ さとう・みりん 各大さじ3
★ 酒・しょうゆ 各大さじ1
★ 塩 小さじ1
出典: http://cookpad.com/recipe/123310
下茹でしたくわいをお鍋に入れて、水と★の調味料を全て入れて、20~30分ほど弱火で煮ます。火を止めたら、煮汁に入れたまま冷まして出来上がりです。
調味料を入れたあとに長く煮てしまうと、くわいが固くなってしまうので、煮すぎには気を付けましょう。下茹でをしておけば、後は調味料を入れて煮るだけなのでとても簡単です。
写真を撮るのを忘れましたが、実際にとってもおいしくできあがりました。
おせちも一つずつ作り方を見てみると、意外と作れそうなものが多いです。黒豆の煮方はこちらをご覧ください。
⇒ 黒豆の圧力鍋で色落ちしない、しわを作らない煮方をご紹介!
くわいのおいしい食べ方は?
おせち料理のくわいのイメージが強くて、なかなか他の食べ方が思い浮かびませんが、くわいは他にもいろんな調理法・食べ方があります。
小さいものはそのまま素揚げやから揚げなどにできて、揚げる場合は下茹では必要ありません。
また、輪切りにスライスしたものを揚げるくわいチップスもおすすめです。チップスにする場合はくわいを薄く切ったあと、アクを抜くために4~5時間水にさらして、水気をしっかり拭いて油で揚げます。まだ作ったことがないのですが、私も一度作ってみたいと思います。
また、中華料理の炒め物に入っているくわいに似た野菜があるのですが、これは日本のくわいと違って水くわい、中国語では「馬蹄:マータイ」といい、くわいよりもシャキシャキしたれんこんのような食感です。
日本では、くわいの水煮として缶詰で手に入りますよ。
くわいの保存方法は?
くわいの保存方法は、冷蔵庫の場合、2通りあります。
まず一つ目は、くわいを水道水で洗って、水分をしっかりふき取り、新聞紙に包んで、さらにポリ袋に入れて冷蔵庫で保存します。
もう一つは、タッパーなどの容器にくわいを入れ、水もひたひたに入れて、冷蔵庫の冷暗所で保存する方法です。水に浸けて保存していると、水が濁ってくるので2~3日に一度、水を変えてあげます。
また、しばらく使わない場合は冷凍保存が便利です。
冷凍する場合は、下処理まで済ませて、ラップに包んで密閉袋に入れて冷凍庫で保存します。使うときは、解凍せずにそのまま煮物などに使えますよ。
保存期間は約1ヶ月ですが、長く保存しておくとどうしても味が落ちてしまうので早めに使い切ったほうがいいですね。
里芋も下茹でして冷凍するととっても便利です。里芋の保存方法はこちらをご覧ください。
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まとめ
今回はくわいの下処理や切り方、食べ方、保存方法についてご紹介しました。栄養価の高いくわいですが、11~12 月、または1月の 短い季節しか入手できませんので、おせちも含め年末年始は味わっておきたいですね。
ちなみに、お正月前の年末ぎりぎりにかったくわいは400円ほどしましたが、お正月明け、3日に同じお店で見てみるとなんと100円で売られていました。やはりお正月前は価格も高騰するんですね。
値段が落ち着いた1月以降は、ぜひいろんなくわいの食べ方で味わってみてください。