どこの家庭でもきっと人参は必ず常備している野菜ですよね。比較的一定的で安価な価格で購入できる人参。
メインとして使ってもよし、付け合せやかさ増し、彩りとして使ってもよし。様々な料理に使える人参ですが、人参にはどのような栄養や効果があるのでしょうか?また、人参は食べ過ぎてはいけないのでしょうか?
今回は、人参の栄養や効果効能についてご紹介します。
人参の栄養、効果効能は?生、加熱時の違いは?
人参の栄養と言えば何と言ってもβカロテンです。100g当たり8.6gも含んでおり、これはかぼちゃやほうれん草などの2倍以上で野菜類でもトップクラスです。
他にもカリウムや食物繊維、少量ではありますがビタミンB群、ビタミンC、ビタミンK、カルシウム、リン、鉄、マグネシウムなども含みます。
βカロテンはカロテノイドの一種で、強力な抗酸化力を持ち、体内の中で必要量に応じてビタミンAに変換され、ビタミンAとしても効果を発揮するので多機能な成分であると言えます。
そんなβカロテン・ビタミンAには様々な効果がありますが主なものを見てみましょう。
✅ 体の老化を防ぐ
ストレスや喫煙、不規則な生活習慣などによって体内で活性酸素が増加すると、加齢による様々な症状が出てきます。
βカロテンには抗酸化作用がありますが、この抗酸化力によって体に悪影響を及ぼす活性酸素の増加を抑えることができるので、体の老化現象を食い止めることができます。
✅ 夜盲症の予防・改善
夜盲症とは、薄暗い場所や暗い場所で極端に視力が低下し、ものが見えづらくなる病気です。人間が暗い場所でも目が慣れて見えるようになるのは、目の網膜に光の明暗を感じる「ロドプシン」と言う物質があるからです。
そのロドプシンの主成分はビタミンAであるため、夜盲症の予防や改善に効果があると言えます。
✅ 粘膜を健康に保つ
ビタミンAには粘膜を丈夫にする働きがあり、口や鼻、のどや胃腸などの健康維持に効果的です。
粘膜を丈夫にすることで、口内炎や歯周病の予防ができたり、病原菌などの侵入を防ぐことができるので、感染症を予防して体の免疫力を高めることができます。
✅ がん発症リスクの軽減
がん細胞は、体内の活性酸素によって多くの細胞が傷つけられることがきっかけで発生すると考えられています。βカロテンの抗酸化力により活性酸素の働きを抑えることで、細胞の損傷とがんの発症リスクを抑えることができます。
✅ 美肌効果
活性酸素によって細胞が損傷すると、皮膚の代謝スピードが鈍くなり、お肌のシワやシミ、たるみの原因となります。βカロテンは皮膚の新陳代謝を促進する働きもあるので、皮膚の健康維持に効果があります。
また、βカロテンの抗酸化力により紫外線によって発生した活性酸素が無効化されるので、シミやそばかすの原因となるメラニン色素の発生を抑える効果があります。
こういった働きをもつβカロテンは、油で調理することで吸収率がアップします。生で食べたり、和え物などもいいですが、βカロテンを効率よく取るためには炒め物や揚げ物にして摂取するのがおすすめです。
人参には、βーカロテン・ビタミンA以外にも次のような効果があります。
✅ 高血圧の予防
塩分の過剰摂取などにより血中のナトリウム濃度が上がると、体が濃度を下げようと血液の水分量を増やすので血管の圧力が上がり、高血圧を引き起こします。
人参に含まれるカリウムには、余分なナトリウムを体外に排出する働きがあるので、血圧を下げて高血圧を予防したり、むくみを改善する効果もあります。
✅ 便秘予防・改善
人参には水溶性食物繊維が含まれています。水溶性食物繊維には便のカサを増やしゲル状にする働きがあるので、便秘の人には効果があります。
生で食べることによってより効果的に食物繊維を取ることができますよ。
人参の皮や葉の栄養は?
人参は主に〝根〟の部分を食べますが、捨てがちな皮や葉にもたっぷりの栄養が含まれています。
βカロテンは根よりも皮の部分に豊富に含まれています。皮を剥かなくても良いと言うことです。皮はピーラーなどで剥いた後、細く千切りにしてしまえば根の部分と同じように使うことができます。
また、その繊維が気になるときは、細かく切ってチャーハンや炒め物に混ぜ込んでしまうのもおすすめです。
人参の「葉」にもβーカロテンは豊富に含まれていますし、他にもビタミンCは5倍、カリウムは2倍、カルシウムは3.5倍など根よりも実は栄養豊富です。
スーパーで購入したときは葉が落とされていることが多いですが、葉が付いているとき、まだ新芽のような黄緑色の状態であれば生でも食べられますし、茹でてお浸しや和え物にしても美味しくいただけます。
ただ葉の部分は、根の部分よりも味が濃く、苦味もあるので少し食べにくくもあります。そんな時は天ぷらなど揚げ物にしてしまいましょう。揚げ物にすることで独特な味を軽減することができます。
皮や根も一緒にかき揚げにしてしまえば人参を丸ごと食べられますね。
人参は食べすぎに注意?
人参をそんなに食べることはないと思いますが、毎日2~3本食べても栄養的にもカロリー的にも問題はありません。
生の人参に含まれるアスコルビナーゼと言う酵素がビタミンCを破壊すると言われていましたが、これも問題はありません。
アスコルビナーゼはビタミンCを酸化させ、別の型のビタミンに変えてしまいますが、そのビタミンは体内に入るとまた元のビタミンCに戻り、ほぼ同様の働きをします。
つまり、アスコルビナーゼがビタミンCを酸化させたとしても私たちの体の中では何ら問題は起こらないと言うことですね。
ですので、生の人参が好きな方はどんどん食べましょう!ただ、生だと体が冷えてしまいますし、食物繊維もたくさん取ることになるので下痢などには注意してくださいね。
また、人参を食べすぎると手や体が黄色くなることがあります。これは血液に含まれるカロテンの量が増え、手のひらなど皮膚の薄いところが黄色く見えているだけで、人参の摂取量を減らせば元に戻ります。
他にも、妊婦さんは人参を食べすぎてはいけないと言う話もあります。
妊娠12週までにビタミンAを摂取しすぎると胎児寄生発生のリスクが高まると言うことですが、これは毎日何キロも食べた場合のことで、1日に2~3本食べたからと言って問題が起こるわけではないので安心してください。
人参は認知症にも効果的?
人参は認知症にも効果があると言われていますが、これは私たちが普段食べている人参ではなく、高麗人参の話です。認知症には「アルツハイマー認知症」と「脳血管性認知症」があります。
アルツハイマー認知症は脳の神経細胞が減少したために脳が小さくなってしまうことにより発症します。
脳血管性認知症は脳の血管に異常が起こるために脳が正常通りの機能をしなくなるというもので、脳卒中を起こした後に起こることが多いようです。
高麗人参には、神経細胞の死滅を抑制する働きや、血管を健康な状態に保つ働きがあるので、認知症に効果があるのではないかと言われているのです。
私も数年前から友人に高麗人参がいいと聞いてからジュースに入れて飲んでいます。そのせいかはわかりませんが、体調を壊したり、疲れたりすことなく元気に毎日過ごしているので、効果はあるのかなと思っています。
まとめ
生で食べても、調理しても体に良い効果があり美味しくいただける人参。朝は人参ジュース、昼は炒め物、夜は和え物と様々な調理法で毎日、毎食食べられますね。
ただし、βカロテンの吸収率があがるからと油で調理して食べ過ぎると、油によってカロリーオーバーになってしまうので注意してくださいね。