ほうれん草を使うレシピでよく目にする「さっと湯がき」や「熱湯にくぐらせ」という工程。炒め物に使いたい時など、どっちみち火を通すのに「茹でないで使えないかな?」と疑問に思った事ありませんか?
他にも、茹でる時に塩を入れる理由や、茹で時間は何分必要なのか、などコツさえ押さえれば、ほうれん草の茹で方はもっと簡単にできるのではないかと思ったのですが、今回はほうれん草の茹で方やゆで時間、あく抜きは必要?茹でる前に根元をカットしない理由は?といった疑問について調べてみました。
ほうれん草の下処理から茹で方まで
ほうれん草を調理する際、まずしなくてはいけないのが、根元に残った土をしっかりと洗い落とす事です。
最近のスーパー等に並んでいるほうれん草は、土もきれいに落とされている様に見えますが、それでもやはり土は残っています。落とし切れていなくて食べた時にじゃりっと砂を食べて嫌な思いをしてしまうのを防ぐ為、しっかりと下処理をしたほうがいいですね。
ほうれん草の下処理は?
洗い方や下処理の手順は、
1⃣ 長い根のままで売られているものや、根の先が汚れたり乾いているものは、束がバラバラにならない部分で切り落とします。
2⃣ 聞き手と反対側の手でほうれん草の中ほどをつかみ、包丁で根元に1~2㎝ほどの深さの十字の切り込みを入れます。
3⃣ 洗い桶や大きめのボウルなどに貯めた水の中で、2⃣で切った根っこの部分を揉むようにしてゴシゴシ水洗います。こうする事で中の方の泥も落としやすくなります。
ほうれん草の茹で方と茹で時間は?
下ごしらえが終わったら、次は茹で方ですね。
お鍋やフライパンを使った茹で方は、
1⃣ たっぷりのお湯を沸騰させ塩をひとつまみ入れます。塩を入れるのは茹でた後に綺麗な濃い緑色を出すためです。
2⃣ ほうれん草を茎から先に入れて茎と葉の茹で時間を変えます。茹で時間の目安は、おひたしなどに使う場合は、先に茎の部分だけを入れた状態で30秒、葉の部分を入れてプラス20秒です。合計50秒ほどと短いです。
3⃣ 予めボールに水を張って準備しておき、茹で上がったほうれん草を水でさっと冷まします。
4⃣ 冷ましたら包丁で食べやすい長さ、3~4㎝ほどに切り、水気を切ってできあがりです。
ゆでたほうれん草は胡麻和え、ナムルやお浸し、白和えなど和え物に調理できます。またゆで時間を短くして、水気を切ったらベーコンや卵とバター炒めにしたり、パスタソースと絡めたりスープやグラタン、ソテー、お味噌汁に加えてもおいしいですね。
茹でる時のポイントは、
① 全体を鍋の中に入れてから、途中で一回ひっくり返すことです。茹ですぎると、へたってしまいシャキッとしなくなるのでお好みで加減してください。
② お湯をたっぷり用意するのは、ほうれん草を入れることでお湯の温度が下がらないようにするためです。下がってしまうとほうれん草がきれいに茹で上がらないからです。
ほうれん草はゆでて冷凍保存が可能です。ほうれん草の保存方法や解凍方法、ほうれん草の選び方に関してはこちらを参考にしてみてください。
⇒ ほうれん草の保存は冷凍で!保存方法や期間、お浸しや茹でてもOK!
ほうれん草、炒める前になぜ茹でるの?
ところで、ほうれん草の炒め物やソテーの前に「さっと湯がく」とありますが、この工程は必要なのでしょうか?
実はほうれん草には、アクやえぐみのもととなるシュウ酸と呼ばれる成分が多く含まれています。ほうれん草を茹でずに炒めたりして食べたときに、ギシっとか、ギリっとか歯ぎしりのような食感があるのをご存知ですか?
これは実はシュウ酸によるもので、また結石を引き起こすことがあると言われています。ただ、茹でることによって水に溶けだす水溶性の性質を持っていて70%ほどが溶け出します。
ちなみに生でサラダとして食べれる種類のベビースピナッチは下茹での必要はありません。
実際に結石を引き起こすのは、多量に摂取し続けた時で、普段口にするくらいの量なら問題はないと思われますが、「さっと湯がく」工程は、アク取りと歯ごたえ、食感のためには必要と言えますね。
ですので炒めるときも下茹でしたほうがおいしいんですね。昔、ベーコンとほうれん草でパスタをよく作ったのですが、ゆでずに食べていたため、食べると歯がキシキシして食感が悪かったです。今はその食感が苦手なので必ず茹でてあく抜きをした後、調理しています。
また、レシピを見ると「さっと湯がく」とセットの様に「冷水にさらす」や「水にとる」などと書かれていますが、水につけることで、色が鮮やかなまま保てますし、余熱で茹ですぎることを防ぎます。
ここでの注意点は、あまり長い間水にさらしておかないことです。水につけすぎると、ほうれん草の栄養素がどんどん水に流れ出てしまうからです。やはりすべての工程に意味があったのですね。
ちなみに茹でるときに砂糖を入れてもシュウ酸が取れると言われています。使う量は塩を使う時と同じく少量です。
また、時間がない時や忙しい時は、電子レンジであく抜きもできます。レンジであく抜きをする方法は、洗ったほうれん草をラップにくるんで3分ほど加熱したあと、ラップのまま冷水にさらします。こちらも簡単ですね。
出典:https://cookpad.com/recipe/764649
ほうれん草を茹でる前に切らないのはなぜ?
ほうれん草を茹でるのが、結構面倒に感じるのは私だけでしょうか?葉物でかさばり、下ごしらえで洗うときも土を落とすのが大変じゃないですか?といいつつ実はいつも、先に根元をカットして茹でてしまっています。
先に根元を切り落としたり、半分に切ってしまった方が洗うのも茹でるのも簡単だと思うのですが、実は、ほうれん草を茹で終わってから切る理由が2つあります。
一つは、盛り付けがきれいにできる事です。おひたしなどにする場合、長さも向きも揃って盛られている方が綺麗ですよね。これが、切ってから茹でたものだと揃えるのが難しくなります。
二つ目は、切断面が多いことで茹でるさいに栄養の損失が多くなるので、丸ごと茹でてから切る方が栄養を逃しにくいのです。また、根元の赤い部分には栄養素がたっぷり含まれています。
ということで、やはり茹でてから切る方法をとった方が良いと言えますね。ですが、こちらの方法でないと絶対にダメというわけではないので、時間がない、または急いでいるという時には先にカットしても大丈夫です。
ちなみに、根元を先に切り落として茹でる場合、ゴムなどで束を止めて茹でるとバラバラにならないですし、土もきれいに取れるのでおすすめです。
まとめ
今回はほうれん草の下処理と湯がき方についてご紹介しましたが、昔ながらの方法は少々手間に感じることにもしっかりと意味があって、なるほどという感じですよね。
ライフスタイルは人それぞれですので、基本の方法をしっかりと抑えた上であれば、その時々、優先順位をどこに置くかによって、時には時短になる簡単な方法も組み合わせてみるというのも一つの手かもしれませんね。