年中手に入る野菜のひとつなす、どんなお料理にも相性がよくて、使い勝手もいいですね。そんななすは、水っぽいだけだと思ったら、意外と栄養や効果効能があります。なすびの皮の紫色にもその効果が隠されています。
今回は茄子の栄養や効果効能、おいしいなすの選び方についてまとめてみました。
なすは高嶺の花?
年中手に入るなすですが、旬は7月~9月の夏の野菜です。焼いても煮ても、揚げても漬けても何にしてもおいしい万能野菜で夏野菜の代表格の一つですね。
なすの原産地はインドで2500年以上の歴史があり、日本には平安時代に入ってきた、実はとても歴史のある野菜です。24年度の資料では、日本国内の生産地は1位が高知、2位が熊本、3位が群馬となっています。
なすと一言で言っても、現在では長茄子や長なす、米茄子、賀茂なすなどいろんな種類がありますね。
また、縁起のよい初夢に「一富士、二鷹、三茄子」がありますが、なすが挙げられたのは何故だかわかりますか?
江戸時代のころには、お正月に初物のなすを食べるということは、当時としては非常に贅沢なことで、相当なお金持ちでないと実現できなかったそうです。そんなことから、3つ目になすが含まれているのです。
なすは、一般庶民にはかなえられないほど高価な食べ物だったことがうかがえますね。
他にも「秋なすは嫁に食わすな」ということわざがありますが、これには3つの解釈があります。
1つ目は、秋なすがおいしいから嫁に食べさせるな、という解釈
2つ目は、秋なすは体を冷やすから嫁には食べさせるな、流産すると大変だという解釈
3つ目は、秋なすは種が少ないので子供に恵まれないという解釈です。
どれが正しい解釈かは不明のようですが、なすは日本人の食生活に古くから関わっていたことがうかがえますね。
なすの栄養と効果効能は?
なすは炒めるとよくわかりますが、調理したらほとんどが水分でしなっとなりますね。実はなすには94%も水分が含まれているのです。とはいってもビタミンや、カルシウム、カリウム、鉄分や食物繊維をバランスよく含んでいます。
特に、なすの表面はきれいな濃い紫色をしていますが、この皮には色素「ナスニン」が含まれています。このナスニンこそが、なすの注目すべき成分で重要な役割をしてくれます。
なすに豊富に含まれている紫色の色素「ナスニン」は、ポリフェノールの一種の「アントシアニン」の一種で抗酸化作用があります。この抗酸化作用とは、体をさびさせる活性酸素の働きを抑止してくれます。
体内の有害な活性酸素は体の老化を進めてしまうのですが、その活動を抑え、肌や体の老化防止、動脈硬化や生活習慣病の発症を防いでくれます。
ちなみにアントシアニンは赤じそやブルーベリーにも含まれる、よく耳にする成分ですが、血栓ができるのを防いだり、目の疲れや視界がぼやけたりするのを防ぐ目の疲労を回復する効果があります。
ナスニンに話を戻すと、善玉のHDLコレステロールを上昇させ、逆に悪玉のLDLコレステロールを減らす役割もしてくれます。
また、なすの「アク」ともいわれる実の部分には「クロロゲン酸」などの抗酸化成分のポリフェノールの一種も含まれています。クロロゲン酸も、抗酸化作用が強く、老化やがんの予防に効果があります。ただ、クロロゲン酸はアクに含まれるため、あまり長い間水にさらしておくと効果が薄れてしまいます。
また、他の栄養素を見てみると、食物繊維は腸の働きを整え、便秘を改善、解消したり、大腸がんの予防に効果が期待できます。他にも、血糖値の上昇を抑え、糖尿病や高血圧の予防、また、肥満を防ぐ効果もあります。
骨の形成に必要で、骨の健康を保つ役割のビタミンKや貧血の予防や、妊娠中の女性に必要な栄養素、葉酸も含まれています。
なすは水っぽい野菜と思っていたら、がんを抑制する作用や生活習慣病の予防に効果があるなど、実は栄養価の高い野菜だったんですね。
なすの効果的な食べ方、使い方は?
なすに含まれる成分によっては、調理法を変えたほうがより効果的に摂取できます。また、意外となすのへたにもいろんな使い方がありますので、ご紹介します。
水にさらさないほうがいい?
なすは夏の野菜、オクラ、枝豆、トマトのように、夏バテの症状、のぼせやほてりを解消、または予防してくれる抗酸化成分を多く含んでいます。また、体を冷やす作用もあるので、まさに夏にぴったりの野菜です。
ただ、夏バテ効果を得るためにはあることをしてはいけないのですが、それは切ったあと、水にさらしてはいけないのです。すぐに調理するのがいいのです。
なすは水にさらすことで、変色を防ぐことはできるのですが、抗酸化成分が水に溶けてしまい、効果を得ることができないからです。
実は最近は、なすも品種改良がすすんでいるので、アクを取らなくてもいいとも言われています。なすのアクとりや上手な保存方法については、こちらの記事もぜひチェックしてみてください。
⇒ なすの保存は冷凍や乾燥もおすすめ!切ったら冷凍であく抜きはいらない?
油を吸収しにくくするには?
ナスニンは脂溶性の色素なので、油と一緒に摂取するのが効果的で、なすの揚げびたしや麻婆豆腐などにするのがおすすめです。時々、なすの皮をむいて使う料理もありますが、ナスニンの効果を期待するのであれば皮も一緒に食べるほうがいいですね。
また、なすは油の吸収が非常にいいのですが、油を吸いにくくするための調理法があります。それはなすを調理する前に、電子レンジで2分加熱することです。
予め電子レンジで加熱することで、なすの実の目がつまり油を吸収する力が弱ります。なすは油と相性がいいですが、油を控えたいダイエット中にはいいですね。
なすのへたを有効活用 !
いつもは何も考えずに捨ててしまうなすのへた、実はいろいろ効果があります。
✅ 煎じて飲むと食あたりなどを改善する
✅ しもやけの患部をへたで洗うとよくなる
✅ 歯が痛いときや口内炎のとき、舌がただれたときには、へたを黒焼きにして幹部に塗ると炎症を鎮め、熱を取って痛みが和らぐ
✅ おろして絞った汁をイボに塗るとイボがなくなる
どれも言い伝えのようなのですが、ぜひ、上記のような症状があったり、出たときには試してみたいですね。
また、声を使う方は喉を傷めるので、なすをたくさん食べるのは控えたほうがよさそうです。
まとめ
今回はなすの栄養や効果についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?なすの紫色にはとても貴重な栄養素が含まれていることがわかりましたね。また、アクとりはしないで食べたほうがいいというのは意外でした。
今後は、ぜひ皮も一緒に食べて、せっかくですからなすの栄養をまるごと摂っていきたいですね。