山菜の一種であるうど。「うどの大木」と言うことわざで知られるうどは、大きくなると食べられなくなり、実際に食用とされているのは若い茎や穂先です。
うどはアクが強く、クセがあるので苦手な方も多いですが、下ごしらえをきちんとして、調理法を少し変えるだけで美味しく食べられます。
今回はそんなうどの食べ方や下処理、あく抜き、保存方法やその栄養についてご紹介します。
うどとは?その旬、時期は?
うどには2種類あり、全体が白い「軟白うど」と緑色の「山うど」があります。
一般的に良く売られているのは栽培物の軟白うどで、これは日光を当てずに育てるため白くなります。
本来、山うどは天然物を言いますが、天然物のうどは収穫が少なく、ほとんど流通していません。
旬の時期には天然物が出回りますが、それ以外の山うどは軟白うどに日光を当て緑化したものになります。
天然物のうどは収穫できる期間が非常に短く、1ヵ所では限られた時期にしか収穫されません。3月~6月初旬頃までの間に南の方から順に収穫され、旬は4月~5月頃です。
一方、栽培物のうどは年中売られていますが、晩秋から冬にかけて出荷されるものを「寒うど」と呼び、春に出荷されるものを「春うど」と呼びます。
栽培物のうどの旬は春うどが出荷される3月~5月頃で、春うどのほうが寒うどよりも柔らかく、香りも良いです。
うどの下処理やあく抜きは?
うどには独特な風味と、シャキシャキとした歯ざわりがあります。これを損なわないように下処理やアク抜きを行います。
また、うどは切ったそばから変色してしまうので、手早く行う必要があります。
うどの下処理の方法は、
1⃣ うどを良く洗い、土を落とします。
2⃣ 産毛のような毛がたくさん生えているので、包丁の背などでこそげ落とします。
3⃣ 4~5㎝のぶつ切りにし、皮は厚めに剥きます。アクの成分は皮の付近にあります。
4⃣ 用途に合わせた大きさに切り、皮も茎も酢水に5分~10分さらしてアク抜きし、しっかりと水気を切ります。
アクが抜けていない場合や、アクが苦手な人は、少し長めに酢水にさらすか、少し茹でて下さい。
ただ、茹で過ぎるとシャキシャキ感が損なわれるので、サッと湯に通す程度にして、茹で過ぎないように注意しましょう。
うどの食べ方、味は?
うどには山菜特有の独特な味と苦味があります。少し違いはありますが、例えると、パクチーやミョウガのような感じでしょうか。好みがはっきりと分かれる食材と言えます。
うどは白い部分の茎だけでなく、芽や皮、葉っぱの部分も使えるので捨てるところがありません。
うどの食べ方として最もポピュラーなのは、茎や葉や芽の部分をサッと茹でて作る酢味噌和えです。
うどの皮を厚めに剥き、柔らかい部分はスライスすると生でも食べられるので、サラダや酢のものにしても美味しく、シャキシャキとした歯ざわりがたまりません。また、皮はきんぴらなどの炒め物に使えます。
うどの味が少し苦手な方は天ぷらなど揚げ物にしたり、豚肉や鶏肉などと一緒に少しコッテリ目の味付けで炒めると、うどの味が分かりにくくなり、食べやすくなるのでおすすめです。
芽の天ぷらは、たらの芽に似ています。細切りにして素揚げにしたりから揚げっぽくすると、おつまみにもなります。
山菜の王様、タラの芽の下ごしらえや食べ方はご存知ですか?
⇒ タラの芽の下処理や食べ方、保存方法は?栄養もたっぷりの山菜の王様!
うどの保存方法や保存期間は?
常温でうどを保存する場合、日に当たると硬くなってしまうので、新聞紙に包んで冷暗所で保存します。
保存期間は2日~3日ですが、味が落ちるのが早いので早めに食べた方が美味しくいただけます。
また、うどは低温に弱く、冷蔵庫に保存すると茶色く変色してしまうので、冷蔵保存には向いていません。ただ、冷凍保存は可能です。
冷凍の仕方は、下ごしらえした後、食べやすい大きさに切り、アク抜きのために酢を少し入れた湯で下茹でします。冷めたら水気をよくふき取り、密封できる保存袋に入れて冷凍庫で保存します。
冷凍したものは、凍ったまま煮物などに使えますよ。冷凍庫での保存期間は1ヵ月程度です。
うどの栄養、効能は?
うどは90%以上が水分で、カリウムや食物繊維が豊富に含まれていて、100g当たり14calと低カロリーなのでダイエット食に向いています。
他にも、アスパラに含まれるアスパラギン酸やうどのアクの成分、クロロゲン酸も含んでいます。
✅ カリウム
塩分を取りすぎた時など、ナトリウムが体内に多く存在すると、体がナトリウム濃度を一定に保とうと血液の水分量を増やすので、むくんだり、血圧が上がったりします。
カリウムは、余分なナトリウムを体外に排出する働きがあるので、むくみ改善や高血圧防止に効果があります。
✅ 食物繊維
腸内で老廃物の運搬役として働き、不要な物質を便として体外へ排出する働きがあるので、腸内環境を整える働きがあります。
また、糖質の吸収を抑制するので血糖値の上昇が穏やかになり糖尿病の予防になったり、コレステロールの吸収を妨げるので肥満の予防にもなります。
✅ アスパラギン酸
アミノ酸の一つで、利尿作用によって有害なアンモニアを体外へ排出する働きがあります。
アンモニアが体内に蓄積されると、神経伝達物質の働きが阻害され、酷くなると脳症などを引き起こす恐れがあるのですが、アスパラギン酸はそれを防いでくれます。
また、アスパラギン酸と言えば疲労回復ですが、クエン酸回路に働きかけ、疲労の素となる乳酸の分解を促進する働きがあります。
✅ クロロゲン酸
うどのアクはポリフェノールの一種であるクロロゲン酸によるもので、抗酸化作用があり、傷や紫外線などのダメージから身を守ってくれます。
また、中性脂肪の蓄積を抑え、脂肪肝を予防する効果もあります。
ただ、うどは調理の前にアク抜きするため、クロロゲン酸の効果は残念ながら余り期待できないですね。
まとめ
春は送別会に歓迎会、お花見など、飲み会の回数も増えるかと思います。
そんな中に春の味覚の一つで、いろんな調理方法で楽しめるうどの料理を取り入れると、春の味を楽しむことも出来ますし、うどの成分が食べすぎ飲みすぎによって体内に溜まった老廃物を排出してくれるのを期待できますね。
好き嫌いが分かれるうどですが、いろんな料理に使えるので、食べたことのない方も1年に一度の旬の季節に試してみてはいかがですか。